にっかつビデオ・タンタンの冒険旅行
タンタンのビデオというと、多くの方は1997年に発売されたテレビ版「タンタンの冒険」を連想することと思いますが、ここに紹介するビデオは、1969年と72年に製作された劇場用アニメーション２作を収録したビデオです。1989年ごろに「にっかつ」から発売されました。
■ビデオソフトのデータ
| タイトル | タンタンの冒険旅行 太陽の神殿（日本語吹替版） TINTIN PRISONNER OF THE SUN |
タンタンの冒険旅行 湖底のひみつ基地（日本語吹替版） TINTIN AND THE LAKE OF SHARKS |
|---|---|---|
| 映画製作年 国 |
1969年 フランス |
1972年 注1 フランス |
| スタッフ | 原作…エルジェ Hergé 製作…レイモンド・レブランス Raymond Leblanc 注2 監督…エディ・ラテスト Eddie Lateste |
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| 声の出演 （日本語吹替） |
タンタン…三ツ矢雄二 （みつや・ゆうじ） ハドック船長…内海賢二 （うつみ・けんじ） トンプソン・デュポン…上田敏也 （うえだ・としや） トマソン・デュポン…石井敏郎 （いしい・としろう） ビーカー博士…槐 柳二 （さいかち・りゅうじ） |
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| 収録時間 | 各85分 | |
| 発売日 | 1989.12.10 | 1990.1.12 |
| 発売 | 株式会社にっかつ （現・日活株式会社） | |
| 販売元 | にっかつビデオ株式会社（東京都港区） | |
| 品番 | NA-1009 | NA-1010 |
| 価格 | 各9,200円（消費税別） | |
| 備考 | 本編終了後に「湖底のひみつ基地」の予告編あり | 本編開始前に「太陽の神殿」の予告編あり |
注2 「レイモンド・レブランス」は英語読み。フランス語読みでは「レイモン・ルブラン」となる。
発売日は（株）音楽出版社のデータベースにより判明。
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左：「湖底のひみつ基地」の箱と中身
右：「湖底のひみつ基地」表紙
表紙拡大画像
■解説
「太陽の神殿」は「ななつの水晶球」「太陽の神殿」が原作、「湖底のひみつ基地」はアニメオリジナルの作品である。「湖底のひみつ基地」の原題は "Tintin et le lac aux requins"（タンタンとサメの湖）。
背景の描画は、原作のような黒い輪郭線がなく、普通の絵画風なので、原作とは違った雰囲気を醸し出している。これに対し、テレビアニメは背景も原作風に描いてあるため、テレビアニメを見てからこの作品を見ると、違和感を覚える。
日本語吹き替えの声は、ハドック船長以外はテレビアニメと異なっているので、既にテレビアニメをごらんになった方は、最初、違和感を覚えるかもしれない。しかし、それなりに適切なキャストになっているので、すぐに慣れるだろう。
スノーウィは原書通りに「ミルー」と呼んでいる。奇異に感じる人もいると思うが、熱狂的タンタンファンにはむしろ喜ばしいことかもしれない。しかし、パッケージの解説文には「スノーウィ」と書かれていて、統一性に欠ける。
「湖底のひみつ基地」に登場する悪役ラスタポプロスは、日本語吹替では「パスタポポロス」となっている。おそらく翻訳者は、聞き取りにくい名前と判断して、スパゲティを連想させる名前を創り出したと思うが、そこまで改変する必要があったかどうか。なお、福音館書店の日本語版およびテレビアニメの日本語吹替では「ラスタポプロス」となっている。
音楽ＣＤ "TINTIN AU CINÉMA" を既にお持ちの方には、ＣＤに収録されている音楽が、作品の中でどのように使用されているかを確認する楽しみもある。挿入歌は原語（フランス語）のままだが、日本語のテロップが表示されるので、歌の意味を確認することができる。
"TINTIN AU CINÉMA"（タンタン・オ・シネマ＝映画のタンタン）当サイトの読者の情報によると、この日本語版は、このビデオのために製作されたとのこと。そういう意味では、このビデオソフトはOVA（オリジナルビデオアニメ…ビデオ用に製作されたアニメ）に準じたものと言えるだろう。
1998年にフランスで発売されたタンタンのサウンドトラックＣＤ。実写映画２作、アニメ映画２作、およびテレビアニメの音楽を収録。
日本でもタンタンショップ・タンタンボックスやＣＤショップで購入可能。商品データは下記の通り。
＜ 商品名：タンタンの冒険／輸入発売元：ＭＳＩ／品番：MSIF 9646／価格：2700円（消費税別） ＞
Webサイト紹介のページで紹介しているフランスのオンライン書店で購入することもできます。
| 日活さんに電話で問い合わせてみました。やはり８０年代の終り頃にフランスから映画を買い付けてビデオ化し販売したそうで、日本語版もビデオ用のために制作したそうです。（中略）現在は権利も切れて販売はできないそうです。ＣＳで新録されたのも契約切れのためだそうです。（中略）カートゥーン・・はＣＳ＝ケーブルの放送権しか持っていないそうです。要は日本ではTINTINの権利は何社かが分散して持ってるそうです・・。（毛髪塔さん 2002/11/08） |
■ビデオ観賞ができる場所
ここで紹介したビデオソフトは、次の場所で観賞することができます。
- ●愛知県図書館（公立図書館） 「太陽の神殿」のみ
- 〒460-0001 名古屋市中区三の丸1-9-3
TEL 052-212-2323
開館時間、休館日等は愛知県図書館のサイトを参照。
館外貸出は扱っていないが、館内で観賞可能。
観賞にあたっての注意：「太陽の神殿」のビデオソフトには、本編終了後に「湖底のひみつ基地」の予告編が入っているので、"FIN"（おわり）が表示されて画面が暗くなっても、すぐに停止ボタンを押さないこと。
■その後の動き
2000年になって、海外アニメ中心の有料チャンネル「カートゥーン・ネットワーク」（スカイパーフェクTVおよびケーブルテレビで視聴可能）で、この２作品が放映されました。この放映に際して、テレビ版と同じ声優による再吹き替えが行われました。「ミルー」を「スノーウィ」に変えるなど、セリフも大幅に変わり、挿入歌も日本語詩で吹き替えられ、タイトルも「ななつの水晶球と太陽の神殿」「呪われた湖の謎」に改題されました。
「カートゥーン・ネットワーク」では、この２作品が何度か繰り返して放映されており、今後も繰り返し放映されることが予想されます。
両者の音声を聞き比べてみてください。
- にっかつ版の音声 （タンタン：三ツ矢雄二）
- カートゥーン・ネットワーク版の音声 （タンタン：草尾毅 くさお・たけし）
協力：ikuさん、文月廻さん、NAOJIさん、毛髪塔さん
2000/09/11
2000/11/12改訂
2001/05/02改訂
2001/11/24改訂
2002/11/18改訂
